暗号資産カード会社はどう収益を得るのか
暗号資産カードの還元は、その還元を生んだ買い物の収益だけで全額を賄う必要はありません。事業者はその取引で損をしても、口座内の別のサービスで収益を得ることができます。これは成立しうる事業モデルであり、Ether.fi、Plasma One、Ethena Payが黒字である証拠ではありません。
第三者による週次統計では、追跡対象となっているEther.fiの各事業の収益は合計約$868,000で、内訳は次のとおりです。
- カード事業:$507,000。
- ステーキング:$266,000。
- Liquid金庫:$58,000。
- 融資:$28,000。
- 交換:$9,000。
カード事業はこの収益の約58%を占めます。収益は関連費用を差し引く前に事業へ入る金額であり、この内訳は各事業に残る利益を示していません。また、各事業が同じ法人に属しているか、その収益がカードの報酬に使われるかも確認できません。
Ether.fi Cash Cardでは、利用額$100につきカード収益が約$1.75、還元が約$2.40と推定されています。定義が比較可能で、事業者が報酬を全額負担しているなら、運営費を含める前から還元はカード収益を$0.65上回ります。この差は他の収益や補助で埋める必要があります。計算が示すのは、これらの仮定に基づく取引の採算であり、会社全体の損失ではありません。
カード決済は収益源の一部
加盟店への支払いでは、決済の各段階で手数料が発生します。インターチェンジ手数料は加盟店側の決済受入機関から発行会社に支払われ、カードプログラムは発行契約に基づいて交渉した取り分を受け取る場合があります。暗号資産カードのブランドが加盟店の決済処理手数料を全額受け取るわけではありません。取り分は契約と対象取引によって決まります。
通貨換算や資産交換では、サービス手数料や売買価格の差が収益になり得ます。事業者が特定の手数料を免除しているなら、それを収益には計上できません。外貨手数料無料と宣伝するカードだけを見ても、口座全体が他の交換からいくら稼いでいるかは分かりません。
融資では資金調達費を差し引いた後の金利差が収益になり得ます。ステーキングや金庫サービスでは、合意した運用益の一部を受け取ったり管理手数料を徴収したりできます。顧客資産の運用益すべてが会社の収益ではなく、サービス側に残る部分だけが該当します。これらの事業にも資金調達、運営、リスク管理の費用がかかります。
会員費も収益源です。報酬や特典の費用に充てられますが、付帯する定額サービス、旅行用クレジット、その他のサービスも事業者にとって費用です。
カードは、融資、ステーキング、交換も提供する口座へ顧客を呼び込めます。買い物以外から収益を得る機会が生まれますが、顧客がそれらのサービスを利用し、事業者に残る収益が費用を上回る場合に限って採算が成り立ちます。
宣伝の還元率と平均支払率は別のもの
2026年8月の第三者統計からは、規模を別の角度で確認できます。
- Ether.fi:利用額は約$109,500,000、チェーン上で支払われた還元は約$2,620,000で、支払額と利用額の比率は約2.39%。
- Plasma One:利用額は約$19,900,000、還元支払額は約$420,000で、比率は約2.11%。
- Ethena Pay:利用額は約$260,000、還元支払額は約$8,900で、比率は約3.42%。
これらの比率は記録された支払額を記録された利用額で割ったものです。個々の利用者に保証される報酬率ではありません。決済の遅れ、報酬の受け取り、返品により、買い物と報酬が異なる集計期間に入る場合があります。この月次データを週次収益と組み合わせて利益を計算することはできません。
Plasma Coreは年会費が$199で、通常の買い物の還元は3%から始まり、利用額の区分に応じて低下し、一定の基準を超えると0.25%になります。還元率の低下によって追加利用分の報酬費用が減り、年会費は別途収益を生みます。
報酬の上限や対象外取引によって、還元への支出をさらに抑えられます。キャンペーン中はプラットフォームや提携先が報酬を補助する場合もあります。補助は一定期間の不足を埋められますが、継続的な収益だけで同じ報酬を無期限に維持できる証拠ではありません。
事業者が黒字かどうかの判断には、報酬の資金、決済処理、人員、法令遵守、不正、サービス費用を含む収支両方の財務資料が必要です。カード利用者にとってより実用的な目安は、還元の原資がどこから来ているかです。事業者独自のトークンで支払われる還元や期間限定キャンペーンに連動した還元は、その原資が尽きると縮小し得ます。会員費や融資残高と引き換えの還元は、もともとそれらのサービスを使っている人にしか割に合いません。
データについて:収益と8月の利用額は監査済み財務諸表ではなく、第三者統計を用いています。数字は事業モデルの説明用であり、会社の黒字を検証するものではありません。決済手数料の仕組みはVisaのインターチェンジ手数料解説で説明されています。